シリーズ「国家と市場」総集編

シリーズ「国家と市場」総集編

このシリーズは、導きの糸として「るいネット」の史的構造論から「超国家・超市場論」のいくつかの記事を引用して紹介させていただき「国家と市場の普遍構造」を解明してきました。
第1回【私権闘争を統合した 力の序列原理】
第2回【国家(力の序列共認)と その統合限界】
第3回【私権闘争の抜け道が、交換取引の場=市場である】
第4回【何をするにもお金がかかる社会】
第5回【市場は社会を統合する機能を持たない】
第6回【市場の拡大限界は、国家の統合限界でもある】
第7回【人類の新たな活力源=圧力源】
第8回【外向収束⇒認識収束に応える『認識形成の場』】 :roll: 今回の記事は「市場と国家」の構造の全体像を掴むための総集編です。 :roll:
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●まず、国家の基礎構造について、その起源から解明したのが、
第1回【私権闘争を統合した 力の序列原理】
ここでは、
私権闘争 ⇒ 力の序列原理 ⇒ 武力支配国家と身分観念
という構造が示されています。
●武力支配国家が孕む矛盾と統合について
第2回【国家(力の序列共認)と その統合限界】
では、
この(国家の)構造は、私権闘争を活力源としながらも(私権拡大の)プラスの可能性が封鎖されているという統合限界が示されています。
そして、そこから、(私権獲得の)抜け道として市場が登場するのです。
●あらためて、市場とは何か?
第3回【私権闘争の抜け道が、交換取引の場=市場である】
では、
市場の起源は、(物々交換ではなく)私権闘争の抜け道としての快美幻想共認=「騙し」をテコとする私益行為であり、これが市場の正体です。
●抜け道でしかない市場がどんどん繁殖し、現在のように全てが市場化された社会になったのはなぜか?
第4回【何をするにもお金がかかる社会】
では、
私権圧力による抑圧からの解脱⇒快美幻想(手放せない)という事と、お金が万人の評価指標となった事が、現在の市場社会に到る構造を解明しています。
●市場はどんどん拡大して今や国家を揺るがす存在に。この両者の関係は?
第5回【市場は社会を統合する機能を持たない】
では、
国家:闘争圧力に対応した「集団(統合)適応」の存在
市場:闘争圧力からの抜け道といての「共生(取引)適応」の存在
として両者の違いを明確にし、市場は全体を統合する事ができない存在である事を示しています。
そしてその両者の関係は、
>市場はどこまでも・・・国家に寄生するしかない
構造であり、
一言でいえば 「市場は国家の寄生物である」という事です。
●では、国家と市場は共倒れになるしかないのか?
第6回【市場の拡大限界は、国家の統合限界でもある】
では、
>このまま市場を放置すれば市場は急速に縮小し、国家が延命策を施し続ければ国家が崩壊する。
>これは私権闘争の終焉を示しており、私権闘争が終焉したという事は
●国家と市場の問題の本質は、何か?
第7回【人類の新たな活力源=圧力源】
では、
貧困の消滅によって国家と市場の前提であった私権闘争が衰弱するとともに、
もっと根底的な『人類500万年のパラダイム転換』が起きているという事実が提示されています。
>サル→人類が共認機能→観念機能を武器に進化してきた動物であり、その生存と進化の前提条件の一つであった物的生存圧力(自然圧力と外敵圧力)⇒物的生存課題をほぼ克服し得たのだとすれば・・・・・残るのは同類圧力の活力源しかない。
という、活力源=圧力源と、それを統合する骨格が提示されています。
●では、(国家に替る)あらたな社会統合機能をどうするか?
第8回【外向収束⇒認識収束に応える『認識形成の場』】
では、
>大前提となる次代の同類闘争圧力とは何か?・・・・・・人々の認識欠乏に応える認識競争の圧力・・・・・この認識闘争の圧力が最末端をも貫く圧力にまで成長すれば、それに応える『認識闘争の場』は人類の最先端機能となり、全てをその下に収束させた社会統合機能となる。
という、国家に替る社会統合機能の骨格が提示されています。
 ●1~8の幹を取り出してみます。
    私    権    闘     争
       ↓          ↓   ↓
    国家と身分制度    ↓   ↓
     統合限界  ⇒ (抜け道) ↓
                市場   ↓
                  ↓   ↓   500万年のパラダイム転換
                市場の繁殖 → 貧困の消滅(生存圧力の衰弱)
                  ↓   ↓      ↓
          市場の拡大限界  ↓      ↓
             ↓        ↓      ↓
      国家に寄生         ↓      ↓
           ↓          ↓      ↓
    国家の統合限界 → 共倒れの危険性 ↓
       ||                   ↓
   私 権 闘 争 の 終 焉  === 活力源の喪失
                             ↓↓
   認識形成の場へ ← 生存圧力に替る同類圧力の活力源へ

★私権闘争から発生した「国家と市場」は、(貧困の消滅に伴う)私権闘争の終焉によって破綻を始めています。
ここでのポイントは、
生存圧力を克服し私権闘争が終焉した=500万年のパラダイム転換であり、
⇒(生存圧力に替る)同類圧力の活力源の実現へ向かう
というところだと思います。

●では、同類圧力を活力源とする社会とは?
「同類圧力を活力源にする」とは、同類(まわりやみんな)の期待に対する応望の活力であり、実は、私たち日本人には馴染みの深いものです。(だからこそ、この構造認識を解明できたのかもしれません)
かつて、私権闘争→掠奪闘争が発生し、その世界的な玉突きによって、僻地を除く世界各地の本源的な共同体集団は悉く解体されてしまいました。
その結果、同類(まわりやみんな)を信頼し切る事ができず、人類が500万年にわたって築いてきた、まわりやみんなに同化し、身を委ねて期待を掴み、これに応えるという習慣の多くを失ってしまいました。
●日本の可能性は?
ところが、島国である日本は微妙な位置で、大陸渡来の支配者層を受け入れながらも村落共同体社会の残すという2重社会によって、古来の共同体体質(縄文体質)を濃厚に残しています。
この(古来からの)縄文体質が、同類圧力を活力源とする社会を導くカギになる可能性があります。

ただし、「縄文体質」といってもそれは遺伝あるいは本能による違いはほとんどなく、ポイントは脳回路中の共認回路の作動のさせ方にあります。
共認回路は、言葉や話し方や人同士の付き合い方、子育てや集団のあり方や先祖の伝承などによって機能したり、しなくなったりします。
よって、このポイントに気が付けば、日本人以外でも再生していく事は可能だと思います。
(その意味では、日本(縄文体質)は、世界の先端可能性として期待されていくはずです)
●最後に、日本の可能性の示す記事を紹介します。
★~市場社会が終焉しようとしている今、求められる日本人の共同性~
★【年末年始特集】シリーズダイジェスト『縄文から流れる日本人の本源性の中身とは?』
★なんでや劇場レポート「日本人はいつ物を考え出すのか?」(4) 力の原理の崩壊→米中欧崩壊で日本人は考え始めるか?
(抜粋)米中欧以外の諸国では、力の原理だけでなく、共同体的基盤で社会を統合している。共同体的基盤→共認体質を保ち続けてきた国々は、米中欧が崩壊したとしても秩序は維持される。共認体質が最も色濃く残存している日本において秩序が維持されるのは言うまでもない。
★「縄文体質を切開する」7~総集編
次回は、シリーズ最後に番外編として、「日本の古代市場の起源は?」をお届けします。
乞う期待!
by tamura
%E7%B8%84%E6%96%87%E9%9B%86%E5%9B%A3.jpg図は縄文時代のイメージです。