脳の進化過程から人類史500万年を見直す~ミッシングリンクは脳進化にはなかった?してきた。

脳の進化過程から人類史500万年を見直す~ミッシングリンクは脳進化にはなかった?

第3回は人類史を見ていく上で必ず登場するミッシングリンクについて脳の進化論の観点から言及してみたいと思います。

まず学説から言われている人類の進化史です。
約500万年―600万年前にサルから分岐し、2足歩行、道具を操るようになり猿人と呼ばれる種(アウストラロピテクス)が登場した。その後原人(ホモハビルス)が登場するのが250万年前。またホモハビルスの後に新人(ネアンデルタール、ホモサピエンス)が登場する30万年前と人類史的には大きく3つの段階に分かれている。

下記はブログの中に「化石人類の脳」という記事があり、それが比較的分かり易いので紹介しておきたい。

 
>人類の祖先は化石でしか見ることができないので、化石人類と呼ばれている。南アフリカや東アフリカで見つかっている400-300万年前に生きていたアウストラロピテクス・アフリカヌスの脳容量の平均値は、441mlであった。これは、チンパンジー(394ml)やオランウータン(411ml)とほぼ同じ容量である。アウストラロピテクスは、直立2足歩行をし、犬歯が小さく、彼らの先祖とは異なっていた。発掘した頭骸の骨のなかに、プラスチックを流し込んで満たすと、脳の模型を作ることができる。彼らの脳は、チンパンジーに比べて、脳の高さが高くなっており、その結果ブローカの運動性言語野に相当する前頭葉の領域も拡大したと考えられる。さらに、後頭葉にある月状溝が後方へ移動している。月状溝は、第一次視覚野と第二次視覚野の境界にほぼ対応している。その後方への移動は、視覚関連の連合野である頭頂連合野と側頭連合野の拡大を意味する。この結果、第一次視覚野は、脳の内側への押され、その点で現代人に一歩近づいている。

 

ホモ・ハビリスは、約250万年前にアウストラロピテクスから分岐し、160万年前まで大きな変化もなく南アフリカと東アフリカで生き続けた。ホモ・ハビリスの頭蓋容量は640mlあり、彼らの脳は彼らの祖先に比べてほぼ一様に拡大していた。次の世代の化石は、1890年代にジャワで見つかった。頭蓋容量が約850mlのヒト科の化石で、約70万年前のものと推定された。一方、1920年代に、北京で頭蓋容量、約1040mlのヒト科の化石が見つかり、こちらも80万年前から50万年前のものと推定された。その後、これとほぼ同じものがアフリカのオルドバイでも見つかった。推定年代は、150万年前と、ジャワや北京よりずっと古いものであった。これらの化石は、ホモ・エレクトスと名付けられた。同様の化石は、ヨーロッパでも見つかった。結局、ホモ・エレクトスは、約150万年前、東アフリカに誕生し、アフリカ、ヨーロッパ、アジアへと移動したと推定された。ホモ・エレクトスは、アシュレアンと呼ばれるユニークな石器文化を生みだした。

 次の世代の人類は、1856年、ドイツのネアンデルタールで発見されたので、ホモ・サピエンス・ネアンデルターレンシスの名前で呼ばれている。彼らの脳容量の平均値は、1450mlあり、現代人であるホモ・サピエンス・サピエンスの平均値1350mlよりも大きかった。ホモ・エレクトスからネアンデルターレンシスへの移行は、50万年前から12万年前にかけて起こったと推定されている。
現代の人類であるホモ・サピエンス・サピエンスの最も古い化石は、パレスチナのクアフゼ洞窟で発見されている。年代は、6万8000年前から7万8000年前と推定されている。ヨーロッパで発見されているサピエンスは、3万4000年前から3万2000年前と新しく、ヨーロッパでは、4万年前から3万5000年前の年代のネアンデルターレンシスが見つかっている。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

この記事の中でホモエレクトスからネアンデルタールレンシスへの移行が推定されてるが、脳容量の観点から見るとざっくり数字化すると以下のようになる。(北京原人のような事例は除いて)
チンパンジー(400CC)⇒500万年前 猿人(440CC)⇒250万年前 原人ハビルス(640CC)⇒80万年前 原人エレクトス(1000cc)⇒30万年前 旧人・新人(1350CC~1450cc)

人類の脳容量

↑拡大してみて下さい。

原人と新人は遺伝子的には繋がりがなく、原人は絶滅したと考えられており、猿人―原人ー新人を繋ぐ間の種、連続的特長がない事をもってミッシングリンクとされている。前の種が次の種に引き継がれていない。

しかし脳容量の観点から見ると500万年前から現代にかけて容量の増大には連続性が見られる。
もしミッシングリンクと言い切るなら上記のグラフのような連続性はない。ただ、脳容量の増大のカーブは原人から新人にかけてが最も大きくこの時代に何があったのか?が問われる。仮説として原人時代に既に火を扱えるようになっており、それがハビルスからエレクトスへの脳容量の増大へ繋がった。また新人時代には言葉を扱えるようになった事で脳容量が爆発的に拡大した。しかし新人同様に脳容量が拡大したネアンデルタール人は言語を扱っていなかったと一般に言われており、言語と脳の関係は追求しておきたいテーマである。次回以降にそれを展開していきたいと思います。